歯科医院の従業員とのトラブルを防ぎ、安定した職場を維持するための就業規則を提案しています。詳しくは、私のホームページをご覧ください。https://sites.google.com/view/sikakisoku
2016年6月16日木曜日
15-20160616
今回は、歯科医院の従業員を採用するときの提出書類に関する条文の解説をします。
(解説)
1 そもそも採用内定者に就業規則が適用されるかという問題があります。
最高裁は、採用内定通知をもって労働契約(始期付解約権留保付労働契約)が成立するとしていますから(大日本印刷事件<最高裁判決 昭和54.7.20>、電電公社近畿電報電話局事件<最高裁判決 昭和55.5.30>)、採用内定者にも就業規則の一部を適用することができると考えてよいでしょう。
ですから、採用内定者に対して、第1項の各種書類の提出を義務付けることに何ら問題はありません。
2 誓約書は、就業規則の内容を十分に説明したうえで提出させましょう。
私は、歯科医院に採用された方(採用内定者を含む)に対してオリエンテーションを実施し、そのあとに誓約書を提出していただいています。
3 新卒者と中途採用者とでは提出を求める書類が異なりますから、1項但書のように弾力的な運用ができるようにした方がいいでしょう。
4 採用時に提出を求めた書類の内容に変更があったときは、通勤手当、家族手当、扶養控除等に影響しますから、「2週間以内に」というように期限を明確にして、かつ文書で届出させることが大切です。
次回は、身元保証に関する条文を作成します。
2016年6月6日月曜日
2016年6月1日水曜日
13-20160601
今回は、歯科医院の従業員の「採用選考のための提出書類」の条文を作成し、その解説をします。
第〇条(採用選考のための提出書類)
1 医院は、正社員として就職を希望する者に対して、採用選考のための次の書類を提出させる。但し、その一部の提出を求めないことがある。
①履歴書(医院指定の書式で、かつ自筆のものに限る)
②写真(3か月以内に撮影したもの)
③学校の卒業証明書又は卒業見込証明書及び学校成績表
④医院の指定する医師の発行する健康診断書
⑤その他医院の指示する書類
2 医院は、前項に基づき提出された書類については、提出後6か月以内に返却ないし焼却する。
(解説)
1 採用した人に対して提出を求める書類と、就職希望者に対する採用選考のための提出書類とは、区別して規定したほうがいいでしょう。
2 労働契約法16条で「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする」と規定されており、裁判所の判例でも解雇は厳しく制限されています。
特に正社員として採用した場合は、たとえその従業員に技術的若しくは患者さんに対する接遇上の問題があったとしても、それだけで解雇することは容易ではありません。ですから、採用選考の際、技術のレベルが明らかに低いと認められる人、患者さんとのコミュニケーションが難しそうな人、その他問題がありそうな人は採用しないことが院長の労務管理上の負担を軽減することになります。
3 多くの歯科医院では、DHの採用難という事情もあって、採用選考がとかく安易に行われる傾向があります。医院が求める有能な人材を採用するには、歯科医院の事情に精通した社会保険労務士の視点も取り入れて、採用選考の方法を工夫しなければならない時期にきているといえるでしょう。
次回は、「採用時の提出書類」についての条文を作成し、その解説をします。
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