2016年5月26日木曜日

12-20160526

今回は、歯科医院の従業員の「採用の手続」についての条文を作成し、その解説をします。

第〇条(採用の手続)
医院は、正社員として就職を希望する者について、書類選考、採用面接及び筆記試験等の選考手続きを経て採用者を決定する。

(解説)
1 就業規則には、正社員の採用手続きや採用基準を具体的に定めて、パートタイマーとの違いを明確にしておくことが大切です。 パートタイマーの選考手続きは、面接だけにとどめるのが適切でしょう。

2 採用手続きがずさんな歯科医院が多く見受けられます。特に医院の基幹的な労働力である正社員DHには一定の待遇を保障しなければならないのですから、技術的な能力や接遇の能力等を十分見分けられるような選考方法を工夫すべきです。
そうすれば、おのずからパートタイマーとの違いが明確になります。採用手続きや採用基準の違いは、雇用形態の区分の出発点ですから、労務管理上とても重要です。

次回は、「採用選考のための提出書類」についての条文を作りその解説をします。


2016年5月17日火曜日

11-20160517

今回は「就業規則による労働条件の変更」の解説をします。

(解説)
1 歯科医院では、近隣の歯科医院との競争上、あるいは患者さんの利便性のために休日や始業・終業時刻等を変更することがよくありますが、その変更権の行使が権利の濫用にならないように注意する必要があります。

2 労働契約法10条は、一定の条件で労働条件の不利益変更を規定していますから、本来このような規定がなくても就業規則に定められた労働条件や服務規律等を不利益に変更することができるはずです。しかし、従業員との信頼関係を維持する意味でも、変更権限を明確にしておくのが適切です。

[労働契約法10条]
使用者が就業規則の変更により労働条件を変更する場合において、変更後の就業規則を労働者に周知させ、かつ、就業規則の変更が、労働者の受ける不利益の程度、労働条件の変更の必要性、変更後の就業規則の内容の相当性、労働組合等との交渉の状況その他の就業規則の変更に係る事情に照らして合理的なものである
ときは、労働契約の内容である労働条件は、当該変更後の就業規則に定めるところによるものとする。ただし、労働契約において、労働者及び使用者が就業規則の変更によっては変更されない労働条件として合意していた部分については、第12条に該当する場合を除き、この限りでない。

3 従業員を採用する際に、労働条件の不利益変更があり得ることを説明しておいた方がいいでしょう。

次回は、従業員の「採用の手続」に関する条文とその解説を書きます。

2016年5月9日月曜日

10-20160509

今回は、就業規則による労働条件の変更について書きます。

第○条(就業規則による労働条件の変更)
この規則に定める労働条件及び服務規律等は、法律の改正、経営環境の変動及び医院の経営内容の変化等の業務上の必要により、就業規則の変更手続を経て不利益に変更することがある。

(解説)
労働条件の変更は、労働契約上とても重要な問題です。間違った方法で行うと、従業員との信頼関係を損なうおそれがあります。このため、次回、詳しく解説します。

2016年5月2日月曜日

9-20160502

今回は、歯科医院の従業員の遵守義務についての条文を作成し、その解説をします。

第○条(従業員の遵守義務)
従業員は、この就業規則に定められた義務を誠実に履行し、債務の本旨に従った労務の提供を行うとともに、医院の秩序の維持に努めなければならない。

(解説)
1 就業規則は労使間の労働契約内容(合意内容)を定めたものです(労働契約法7条)。

2 「債務の本旨に従った労務の提供」とは、従業員がその労働契約内容(合意内容)にしたがって仕事を行うべきことをいいます。

3 本条は、従業員が、労働契約の内容を定めた就業規則を遵守すべきことを、あらためて確認するために設けました。

次回は、就業規則による労働条件の変更についての条文と解説を書きます。